単独走行のつもりが途中で行き合わせたサイクリストと二人走行になった
ヤビツ峠越え丹沢林道
朝の6時でも電車内は早出の通勤客でソコソコ混んでいる。
担いだ輪行袋を人にぶつけない様に
気を配りながら、新宿発小田急線急行電車に乗車。
都心から離れる電車なので空いてるだろう
とふんだのは見込み違いというか思わく違いで町田、厚木、伊勢原と乗降客が途切れる事は無い。
満員の乗客に自転車が当たらないかと
神経すり減らしつつなんとか
大秦野駅に無事到着。駅前で自転車(片倉シルク号)を組み立てヤビツ峠めざして出発。
体をほぐす間も無くすぐに上り始めるが舗装されているので比較的順調に走行。
蓑毛を過ぎ
道がだんだん急になり汗も出始めてきた頃、非常に不安定なハンドル捌きをしながら登っていくサイクリストに追いつく。
聞けば今日が初めての輪行サイクリングとのこと。出発直後からハンドルにガタがでて思うように走れないらしい。
私もそんなに経験豊富ではないので原因究明より、一旦ばらして初めから組み直したのが手っ取り早いと思い
サポートすることに。
ステムとホークを抜き、も一度セットし直す。今度はしっかり固定された。
どちらかのネジ締めが
甘かったようだ。袖擦りあうも多少の縁、せめるコースが同じようなので一緒に走る事に。
丹沢近辺には山登りやハイキングでよく来ていたらしい。おん歳54才とのこと。
どんなきっかけで峠越えのサイクリング
を始めたのかは聞きはぐったが、なかなかガッツのある方です。
本格的上りでは世間話もままならないので、峠までは
自分のペースで行くことに。
当然ながら同行の氏をあっという間に後方に置き去り、ギヤは低速ながらチェーンホイール
のインナーは極力
使用しないように頑張る。
坂がきつくなってくるとついつい楽なほうを選んでしまうのが平均的サイクリストの常。
いつもその魔力に負けて早くからインナー側にシフトしてしまい、肝心要のここぞという所で押しになってため息をつく。
今日はいつもの仲間じゃないので妙な緊張感もあり気合がはいる。
押しているところを追いつかれては体裁も悪いことだし。
かなり高度をかせいでピークもそろそろかなと思いはじめた時、山には似つかわしくない騒々しい
エンジン音が聞こえてきた。
見下ろすと観光バスが屋根を連ねて上がってくる。緑濃い山道を右に左に喘ぐように進む様は、
なにやら葉の間を蠢(うごめ)いている
イモムシのおもむき。
近づくにつれ『キャーキャー』甲高い声もまじって大層賑やか。
どうやら近隣の小学校生徒の遠足かハイキングらしい。
追い越しざまに黄色い声で『ガンバッテー』の声援、
いやがうえにも意気(息ではない)が上がり、
次々に通過していく声援バスに苦し紛れの颯爽たる我が勇姿をさらす羽目に。
インナー.チェーン.リングがここ一番で役にたったわけです。
一時の喧騒がすぎ、再び静寂がもどると、何事も無かったかの如く黙々とペダルをこぎすすめるのでした。
やがて峠に到着すると先程の一団がバスと共に広場を占拠していました。
バスガイドさんに写真を撮ってもらい、まだ昼前なので、我々は休む間も無く宮ケ瀬方面目指して出発する事に。
この先はダートなので、慎重を期して走ったつもり‥だったが、比較的やわらかい砂地状のカーブで前輪パンク、
予備のチューブラーと交換し、相方の来るのを待って再びダウンヒル。
札掛まで順調にダートの下りを満喫する。
幾つかの支流をあつめて、流れをましてきた中津川に沿ってしばらく
走ると、やがて宮ケ瀬の集落に。
1時をまわっているし、気がつけばお腹も空いてきたしで、早戸川との合流地点、落合の食堂で遅い昼食にする。
聞くところによると、将来は下流にダムが出来、この辺りは湖の底に沈む運命とのこと。
この緑豊かな渓谷美も、いずれは無くなるのか。
いつかまた此処を訪れたときは、どんな景観に変っているのか、
そんな事を思いつつ店をあとにする。
ここ落合から、三ツ石のある石小屋を経て、
中津川と分かれるまでの
4km程の中津渓谷の変化に富んだ自然美を、
店の主人の言葉を耳に留めおきながら、しっかりと目に焼き付けたのでした。
中央線高尾駅までのコースはペースを若干落として走る事に。
同好の氏が本格的ツーリングは初めてというのを
すっかり忘れてました。
午後5時を回った頃高尾駅に無事到着。氏は京王線で帰るとのことなので此処でお別れすることに。
初めての経験でペース配分もよく分らず、疲れたが楽しかったとのことでした。
いつも以上の充実感を得て、中央線東京行きに愛車ともども乗り込むのでした。